日本ライフオーガナイザー協会代表理事の高原真由美です。
今年4月1日に「思考の整理から始める迷わない暮らしづくり」を新コンセプトとしてリスタート。50代後半からの家づくりシリーズを連載中の片づけ収納ドットコムですが、あれから約半年がたちました。
住み替えを考え始めた理由から、資金計画、土地探し、施工業者選び、建築家とのプランづくりへ。先週は、詳細見積が予算を約2割オーバーし、頭を抱えているわが家の状況をお伝えしました。
家づくりはいよいよこれからが本番ですが、この半年の振り返りとともに、当時「諸般の事情」としか書かなかったことを、少しお話しさせてください。
実は、このサイトのリニューアルはもともと昨年の11月1日を予定していました。それが、なぜ年をまたいで4月になったのか。そこには、住み替え計画を一から組み直すことになった、なかなか大変な経緯があったのです。(涙)

目次
■売却の話が進み、住み替え計画が一気に動き出した
話は1年半ほど前にさかのぼります。わが家は大阪によくある2階建ての4軒長屋で、築90年超。建て替えか住み替えかを検討した結果、売却後、別の土地を購入して新築することにしました。このあたりは、住み替えを考え始めた理由の記事でも紹介しています。
4軒のうち2軒は借家で、夫が子どものころから長く暮らしている方々が住んでいました。売却の準備は、不動産会社への査定依頼や媒介契約と並行し、入居者の方々に事情を説明して、退去について話し合うところから始まりました。昨年6月のことです。
長年暮らしてきた家を離れるのですから、すぐに快く、というわけにはいきません。心配もありましたが、7月末ごろには退去に関する覚書を交わすことができ、お盆前に売り出しを開始しました。
すると、秋には好条件で購入の申し込みが! このまま契約が進めば、今年1月には仮住まいへ引っ越し、2月に解体工事、3月に引き渡しという予定になったのです。
慌てて住み替え先や仮住まいを探し、施工業者にも相談を始めました。売却益で住み替える計画だったので、お金が入る時期と、土地の支払い時期を合わせることも大切でした。
そんななかで見つけた土地は、先に契約を結び、残代金の決済は自宅の売却後でもよいという条件。さらに、自宅の売却話が流れた場合は土地の契約を解除でき、手付金も返してもらえる特約をつけていただけることになりました。
土地の条件も気に入り、購入の契約を先に進めることに。進める順番への反省は、以前の記事に書いたとおりですが、当時はその条件を前提に、住み替えの準備を進めていました。
■契約を止めたのは、前の道路の「掘削同意」だった
ところが、自宅の売却契約が思うように進みません。買主となる予定だったのは誰もが知る大手企業。本来は10月中に契約する予定でしたが、手続きが後ろ倒しになるうえ、契約に向けた条件も変わっていきました。
その一つが、前面道路の掘削同意。
わが家の前の道路は、市道ではなく私道。買主側の建築計画に伴うインフラ工事で道路を掘るため、道路の所有者から同意書をもらうことを求められたのです。
当初は、契約後、引き渡しまでに同意をそろえるという話でした。それが途中から、「契約前にそろえること」に変更。私たちには、話が進むほど契約が遠のいていくように感じられました。
さらに、買主の社内ルールでは、登記簿上の所有者から同意を得る必要があるとのこと。確認が必要だった相手は4軒ありましたが、いずれも名義人がすでに亡くなり、相続登記がされていない状態だとわかったのです。
買主側で登記の手続きや費用負担をしていただくという話でしたが、相続人が複数いて、連絡先を調べるところから必要なケースも。関係者との話し合いも難航し、なかなか前へ進めませんでした。
なお、私道の工事について「所有者の同意がなければ、法律上どんな場合も工事できない」ということではありません。一定の要件のもとで他人の土地にライフライン設備を設置する権利があり、事前の通知などのルールも定められています。ただし、無断で自由に掘ってよいという意味でもありません。
わが家の場合は、法律上の一般的な扱いとは別に、買主側の独自ルールにより、売買契約を結ぶ条件として同意書を求められた、ということです。(しかも後出しで!)
工事や権利関係は、個別に専門家へ確認する必要があります。そのうえで、わが家にとっては、買主側の独自ルールに翻弄されたと感じる出来事でした。
※相続登記は2024年4月からすでに義務化されています。それより前に相続による取得を知っていた不動産も対象で、原則として2027年3月末までに申請する必要があります。
■退去はできたのに売却は白紙。資金計画からやり直しに
昨年の秋から年末にかけては、掘削同意をめぐる対応と並行して、仮住まいを探し、施工業者に相談し、住み替え先の計画も進めていました。いやもう、大変でした!!!
そして今年1月、心配していた入居者の方々の退去は無事に完了。
ところが、掘削同意はそろわず、結局、売却は契約にたどり着かないまま白紙に。購入の申し込みが入ることと、契約が成立し、予定どおり売却できることは、同じではなかったのです。
以前、UR賃貸への入居を取りやめた話を書きましたが、その背景には、こうした事情がありました。
売却益で土地を買い、新築する。その前提がなくなったことで、住み替えの計画は大きく変更することに。それでも、気に入った土地を諦めたくなかったので、住宅ローンを組んで購入する方向へ切り替えました。
「50代後半で住宅ローンなんて」と思い込んでいた私が、ローンの情報収集や手続きを進めることになったのも、この流れがあったからです。
住み替えの準備を進めていたはずが、契約条件の確認、関係者との調整、仮住まい探し、資金計画の組み直しへ。そんな対応に追われ、予定していた片づけ収納ドットコムのリスタートも後ろへずれ込んでしまいました。
春になっても全然進まない住み替えプロジェクトではありましたが、この思うように進まない過程こそ、誰かの役に立つかもしれない。そう考えて再開することに。
リニューアル時の記事でも書いたように、暮らしや家づくりの知識があるつもりでも、いざ自分のことになると知らないことや、判断に迷うことが次々に出てきます。というか、「掘削同意」だの「相続登記」だの、今までほぼ耳にすることがなかった言葉や、法律上必要な手続きと企業が独自に求める条件の違いなどなど、「そんなこと、誰も教えてくれなかった!」みたいなことだらけでしたから。
だからこそ、完成に至るまでに何を考え、どこでつまずき、どう選び直したのか。その現状を包み隠さず共有することが、誰かの「転ばぬ先の杖」になれば。そんな思いが、今回のリスタートの原動力となったのです。
■迷いは尽きないけれど、家づくりはこれからが本番
この半年の記事を振り返ると、最初は、夫婦でも住まいに求めることが違うと気づくところから始まりました。資金計画や土地探しでは、自分の思い込みと、進める順番を何度も見直しました。
その後、建築家Yさんと工務店Kさんに出会い、家づくりは具体的に動き始めました。ひと目惚れしたA案から、暮らしに合うB案へ。「図面の中で住む」ように毎日の動きを考え、家具店やショールームで実物を確かめながら、わが家にとって大切なことが少しずつ具体的になってきました。
もちろん、その後も順調なことばかりではありません。カーポートの追加で確認申請がやり直しになり、今は詳細見積の予算オーバーへの対応を検討中。
一方で、先週お伝えしたように、現在の住まいはあらためて売買契約を締結することができました。希望していた価格ではなかったものの、新居への引っ越し後に引き渡せる条件も含めて決めたことで、資金計画の見通しは立ちました。
迷わない暮らしづくりと言いながら、本人は今も迷ってばかりという。(苦笑)
でも、「迷わない」は、一度で正解を選ぶことではありません。迷ったときに、自分や家族にとって大切なことへ立ち戻り、選び直せること。そのための思考の整理を、今まさに自分自身が実践しているのだと思います。
8月からは、家づくりに役立つおすすめ記事の配信も始めました。私自身が過去記事に何度も助けられているからこそ、今の家づくりや暮らしの見直しに役立つ視点を添えて紹介しています。季節に合わせた編集部の厳選まとめ記事も、ぜひ活用してくださいね。
新しい体験を記録することと、これまでに蓄積した記事を今の暮らしにつなげること。形は変わっても、その人や家族にとっての心地よい暮らしに役立ちたいという思いは変わりません。
この半年、記事を読んでくださったみなさま、ありがとうございます。家づくりは、いよいよこれからが本番。まだまだアタフタしそうですが、うまくいったことも、いかなかったことも、引き続きお伝えしていきたいと思います。
人生後半に思うことはなんですか?
これから何をしたいですか?
心地いい暮らしづくりに役立てれば嬉しいです。
日本ライフオーガナイザー協会代表理事
高原真由美
ブログ:JALO公式ブログ






