おはようございます。
ライフオーガナイザーのさいとう きいです。
片づけのプロとして働く人ってどんな人? 何がきっかけでその仕事を選んだの? 何にやりがいを感じるの?
そんな素朴な疑問にお答えする、ライフオーガナイザーインタビュー。第5回目は、総合情報サイト「All About」などのウェブメディアのほか、雑誌やテレビなどでもご活躍で、片づけ大賞2015審査員特別賞も受賞した、神奈川県川崎市在住のマスターライフオーガナイザー吉川圭子さんにお話をお聞きしました。
インタビュアー・記事/油科真弓
撮影/川俣満博
―ライフオーガナイザーの資格を取得した経緯を教えてください。
もともと整理収納アドバイザーの資格を持っていたこともあり、「新たに日本ライフオーガナイザー協会というものができる」という話は聞いていました。興味はありましたが、整理収納アドバイザーの資格を取得したばかりということもあり、ライフオーガナイザーの資格を取ることまでは考えられませんでした。
でも、整理収納アドバイザーとして、片づけられない人の話を聞いているうちに、一般的な収納術で言われている「いる」「いらない」の仕分けができない人が多いことに気づいたんです。そういう人にアプローチするにはどうしたらいいんだろうと考えていたときに、改めてライフオーガナイザーのことを思い出しました。
協会が推奨する「捨てるからはじめない片づけ」がどういったものなのか気になって、講座を受講することを決めました。
―整理収納アドバイザーの資格を取ったということは、もともと片づけが好きだったのですか?
収納の雑誌やブログを読むのは好きでしたが、片づけが好きかというとそういうわけではありません。ただ、いかにしてラクに過ごすかを考えるのは好きでしたね。
そんなときに片づけがブームになり、インターネットで整理収納アドバイザーという仕事があることを知り、「片づけが仕事になるなんておもしろそう」と思って、2009年に資格を取得しました。そして、その1年後にライフオーガナイザーの資格も取得したんです。
―資格を取得して、何か変わったことはありますか?
ライフオーガナイザーの講座を受講して、最も印象的だったのは、「利き脳」(手に利き手があるように、脳にも利き脳があるという、京都大学名誉教授、坂野登教授の提唱する考え方)によって得意分野が違い、適した収納法も違うということでした。人によって考え方や行動のクセが違うと知ってからは、家族も含め、人のことを観察するようになったんです。
以前は、「この人はこうだ」と決めつけてしまうこともありましたが、「なぜこうなんだろう?」と一歩引いて観察するようになったというか……。見える風景が変わってきました。私自身、ワンクッションおいてものを考えられるようになったと思います。
―それは、ご自宅の収納や片づけにも生かされましたか?
もちろんです。ライフオーガナイズはその人の価値観を尊重する考え方です。
同じものを見ていても、「なぜできないんだろう?」というところから「どうしたらできるようになるのかな?」と、視点が変わりましたね。今の状況をどう変えたら片づけられるようになるのか、いろいろ試してみるようにもなりました。
―3人の子ども部屋にも、その考え方を取り入れられていますね?
そのとおりです。子どもが自分でできるような、あるいは子どもの意欲をそがないような収納の仕組みをつくりたいと考えています。
小学6年生の長女は小さい頃から片づけが得意です。なにもアドバイスしなくても、いつもきちんと部屋を整えています。一方で、小学3年生の双子の姉妹は、片づけに少しアドバイスが必要なタイプ。おまけに、一卵性の双子ながら、ものの探し方や戻し方のクセも違うんですよ。
それぞれの個性に対して、親が考える“たったひとつの片づけの正解”を押しつけるのではなく、そのクセにあった片づけ方を探すサポートをしたいと思っています。次女の場合、隠しすぎるとわからなくなってしまうので、あまり隠さないように。三女の場合、ものをきちんと分類して管理したいようなので、収納用品についてアドバイスすることもあります。
自分でできるような仕組みをつくれば、子どもでも立派な人手になってくれます。そのおかげで、私自身の時間も生み出すことができているんですよ。
(後編に続く)
過去記事はこちら:
・大型の食器棚や吊り戸棚がなくても片づく! オープンキッチンの収納例
・ラクにすっきり片づく! 3つのクセから考えたパントリーの設置場所
・双子でもこんなに違う! 収納“見守り術”で子どもの片づけ力を育む!
・散らかりがちな玄関、シュークローゼットの設置場所に原因がある?
・1日24時間では足りない人へ。時間を生み出すちょっと意外なアイデア5選
ライフオーガナイザー 吉川圭子
ブログ:整理収納手帖