長いスパンで暮らしを考えるお手伝いをしていきたい ライフオーガナイザーインタビュー(中矢くみこさん)


片づけのプロとして活躍するライフオーガナイザーたちは、どんなきっかけで「片づけ」に目覚め、資格を取得し、今に至っているのでしょうか?

愛知県在住のライフオーガナイザーで、片づけ収納ドットコムのライターでもある中矢くみこさんにお話を伺いました。

長いスパンで暮らしを考えるお手伝いをしていきたい ライフオーガナイザーインタビュー(中矢くみこさん)

中矢くみこ(なかや くみこ)/ライフオーガナイザー
新築した完全分離二世帯住居に夫と4人の子ども(中1男子+小4女子+小2の双子)、義父母+愛犬との8人暮らし。利き脳は右右、念願の大画面で子どもたちと”自宅で映画鑑賞”が至福な45歳。愛知県在住。

インタビュアー・記事・編集/会田麻実子
写真提供/中矢くみこ

■私は発達障がい?!自分の特性に思い悩んだ日々

−ライフオーガナイズをどのようにして知りましたか。
発達障がいについてネットで調べているときに、ライフオーガナイザーの方のブログで知りました。

−発達障がいに関心があったんですね。
私自身にその要素があると感じていました。注意力散漫なのに過集中なところもあって。

小学生の頃は学校で筆箱を開けたら鉛筆が一本も入っていないとか、夏休み明けに教科書がなくなっていることもよくありました。社会人になってからも、打ち合わせに資料を持って行くのを忘れたり、書類の記入間違いが多かったりして。小さな失敗の積み重ねにずっと困っていました。

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−それで色々と調べていたんですね。
はい。実は病院にも2度行ったんです。病院に行けばこのしんどさを、なんとかしてもらえるのではないかと思っていました。でも、独身時代に行った一つ目の病院では、「あなたよりもっと大変な人がいるんだから。気にしなくていい」「診断も薬も必要ない」と言われてしまって。

確かに、自分なりの工夫でなんとか対策できてはいたと思います。ですが、自分としてはしんどさをかなり感じていたので、「自分でなんとか解決しないといけないのか……」と、何年かは打ちひしがれていました。

−もう一度病院に行ってみようと思ったのはなぜですか?
やっぱりモヤモヤする気持ちがあって。2人目の子どもを出産した後に別の病院に行きました。薬はもらえなくても、診断さえしてもらえれば気持ちがラクになるかなと思ったんです。

そうしたら「小学生の頃なら発達障がいと診断されていたかもしれない。必要なら詳しく検査ができる病院を紹介するけれど、どうしても診断がほしいの?」と質問されました。そこで気づいたんです。私が欲しかったのは診断を受けることではなくて、自分が納得できることだと。

そこから、自分のできる範囲で解決策を見つけていけばいいと考えるようになって、いろいろな情報を自分で集め始めました。

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■人生で初めて片づけた?!ライフオーガナイズで片づけられる私に

−ブログを通じて、ライフオーガナイズに出会ったのはその頃ですか?
それから少し経って、下の双子が1歳の頃だったと思います。

ライフオーガナイズを知ったのは、「発達障がいの傾向を持つ家族が片づけられない」というライフオーガナイザーのブログでした。「サーティファイド ライフオーガナイザー(以下、「CLO」)のプログラムを学んで、それが本当に良かった。家族も片づけられるようになって、暮らしが変わった」という話に、興味を持ちました。

すぐに「CLO ライフオーガナイザー協会」と検索して、日本ライフオーガナイザー協会のホームページを見つけました。

−CLOは、「ADHD・自閉症スペクトラム・ホーディングと呼ばれる溜め込み癖・脳の機能障がい等を一因として、慢性的に片づけられず日常生活に支障をきたしている状態の方のサポートに必要となる専門的な知識と技術を継続的に学ぶプログラム」ですね。
そうですね。当時のホームページにはCLOのクライアント像が書いてあって、それが自分っぽいと感じて、さらに興味を持ちました。そこで「ライフオーガナイザー入門講座」を受けてみることにしたんです。時間も短く、値段も手頃でいいかなと思いました。

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−受講してみていかがでしたか?
それが、あまり記憶が定かではなくて(笑)。でも、とにかく内容がおもしろかったことだけは覚えています。一緒に受講した方たちも、私と悩みの似ている人が多くて、すごく楽しい時間でしたし、新鮮でした。

−入門講座ではCLOについては、ほとんど触れないですよね。
そうなんですよね。それで入門講座の後に、講師の方にCLOに興味があるとお話したんです。そうしたら、「ライフオーガナイザーの中にも、発達障がいの傾向を持っていて片づけが苦手だったという人がいて、その方たちも今は片づけられるようになっている。だから、ライフオーガナイザー1級(プロとして仕事をするための資格)の知識でも、解決できることがたくさんあると思う」とアドバイスされたんです。

それで、まずは2級認定講座、1級認定講座を学んでみて、「どうしても」となったらCLOに進めばいいかなと考えました。入門講座から一緒に学びを進めた仲間がいたのにも、後押しされました。

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−ライフオーガナイズを学んで、暮らしに変化はありましたか?
ありました。一番大きいのは、片づけられるようになったことです。「私はこういうタイプだし、一生“片づけられない女”なんだ」と思い込んでいたので。

とはいえ、正直いうと受講した直後は「全然分からない、これで本当に片づけられるの?」という感じで(笑)。でも、1級の資格取得後に試しにライフオーガナイズの手順に沿って一人で下駄箱のオーガナイズをしてみたんです。そうしたら、人生で初めて「片づけた」と感じました。

見た目は大きく変わらなかったのですが、そういうことではなくて。ものとも自分自身ともしっかり向き合えた気がしました。あのときの心のスッキリ感は、いまだに忘れられないです。

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−ライフオーガナイズを知る前後で、片づけ方は変わりましたか?
生活の流れの中で「なんとなく」でやっていた、ものを手放したり、しまい方を決めたりといったことを「意識して」するようになりました。おかげで自分の苦手や得意、やりがちなことがわかってきて、どんどん片づけられるようになったんです。自分への理解が深まるごとに、苦手な片づけ方はしなくなりました。

−どんな片づけ方が苦手だったのですか?
世の中的には「ものは出しっぱなしにせず、きちんとしまうのが良い」と言われることが多いですよね。そういう片づけ方です。私自身はできればきちんとしまいたいタイプなのですが、実際にはできなくて。「どうにかしなければ」とずっと思っていました。

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でも、「利き脳」(手に利き手があるように、脳にも利き脳があるという故・坂野登京都大学名誉教授の提唱する考え方)の学びを通じて、私には出しっぱなしが向いていることを知ったんです。「出しっぱなしもありなんだ」と衝撃を受けました。

−今は出しっぱなしが向いている自分で、どう片づけていくかという視点で片づけを?
そうですね。0か100かではなくて、「どこまでなら出しっぱなしでいいか」とか、「これはしまえるんじゃないか」とか、ちょうどいいバランスを探れるようになりました。

キッチンの脇にある手紙コーナー(下の写真)がまさにそれです。見た目としては今ひとつなのですが、使い勝手がすごくいいんです。一時的なものだし、子どもも使いやすそうだし、私もラクなので、「まあいいか」と思っています。

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−4人のお子さんたちは、片づけとどう向き合っていますか?
子どもたちには片づけ方は教えていますが、本人たちはそこまで興味がないですね。片づけ方は分かっているけれど、めんどくさいからやらないという感じです。でも、それでいいかなと思っているんです。子どものものは、本人にできるだけ任せています。

仕組みづくりは、4人それぞれ合わせたやり方にすることを心がけています。向いている収納方法も見直したいタイミングも、一人一人違いますし。

ただ、長女は私とは片づけやすい方法がまったく違うので、やりにくそうにしていることもあります。「適当に入れておいて」が通用しないんです。適当がわからないからと、数字で聞いて来たりもするんですよ。そういった家族間の違いはおもしろいし、経験値が上がるなと思っています。

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■長いスパンで暮らしをサポートしたい!CLOの学びとこれからの展望

−CLOの学びもスタートしたと伺いました。
CLOを学ばなくても片づけられるようにはなったのですが、ライフオーガナイザーになって5年たっても、CLOの学びへの憧れがなくならなかったんです。私自身が片づけられなかったときに、CLOの知識を持っている人に出会いたかったという思いもあったので、「ならば私が」と思いました。

ライフオーガナイザーとして仕事をする中で、片づけのサポートをするときに知識として持っておいた方がいいと感じたのもあります。

−実際に学んでみていかがですか?
おもしろいです。これまで私がやってきた工夫に裏付けがもらえて、見える世界が広がりました。ライフオーガナイザーとしても、私ひとりの経験から得た「一人称の知識」ではなく、広い視野を持った「プロとしての知識」になって、説得力が上がったと感じています。

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−現在の仕事内容と今後の展望を教えてください。
今は、片づけのサポートや少人数でのアットホームなセミナーがメインの仕事です。ライターとして、暮らしに関する記事も書いています。CLOの学びを進めていることもあってか、以前の私と同じような悩みを抱えている方からのご依頼も増えてきました。

今後は、家をこれから建てる方の収納プランやそれに伴う引っ越しのサポートにもっと携わっていきたいです。もともと店舗設計の仕事をしていたのもあって、私自身も動線にこだわって自宅を建てました。ライフスタイルの変化や子どもの成長など、今だけでなく長いスパンで暮らしを考えるお手伝いをしていきたいと思っています。

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【編集後記】
「もし本を出すとしたら、どんな本がいいですか?」という質問に、「『片づけられない人が家を建てるには』みたいな本でしょうか。昔の私と同じように “一生片づけられない人なんだ”と思っている人向けに、ここを考えれば片づけられる家を作れるというアイデアをまとめた本がいいです。昔の私が、欲しかったので」と、遠慮がちに教えてくれた中矢さん。

片づけられずに悩んだことや4人の子育て、家づくりといったこれまでの経験に、CLOプログラムの知識も活かされた本……、私もぜひ読んでみたいです!

中矢さんから、読者の皆さんへのオススメ記事:
双子でもこんなに違う! 収納も見守ることで、子どもの片づけ力を育む!
「双子でも、引き出しの中の使い方は違うという吉川圭子さんの記事は、少し前の記事ですが、印象的でずっと好きな記事です。うちにも双子がいるのですが、同じだなと実感するので。子どもだけでなく、家族間の違いにも応用できると思います」。

【参考】
サーティファイド ライフオーガナイザー(CLO)資格認定プログラム|日本ライフオーガナイザー協会

ライフオーガナイザー 中矢くみこ
ブログ : 凸凹でも片づけベタでも整う仕組みがある


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