おはようございます。
ライフオーガナイザーの藤本恭子です。
久しぶりの帰省で会った高齢の母は、以前は好きだった炊事がだんだんと億劫になり、キッチンに立つ機会が減っているようでした。
話をよく聞くうちに、腰椎骨折後のコルセットが重くて前にかがむのが負担なこと、杖を使った不安定な歩行で転倒やケガへの不安を感じていたことがわかりました。あえて家族に話をしなかったのは、離れた家族に心配や迷惑をかけたくないとの母なりの思いがあったようです。
そんな母のためにキッチンを見直したら、炊事をすることが増え、介護度も改善しました。工夫したことをご紹介します。
目次
■食器棚はシンクから手の届く位置にして「コックピット」化
まず考えたのは、母ができるだけ安全に作業ができるようにすること。離れた場所にあった食器棚をシンクのすぐ近くへ移動しました。
食器の収納場所が、飛行機のコックピットのように手の届く位置になり、「食器を出す」「洗う」「しまう」の日常の炊事作業がシンクの近くで流れるようになりました。
■母専用の食器を厳選!食器選びは本人の希望を最優先に
次に、ひとり暮らしには多すぎる食器を一旦すべて出し、母と一緒に必要最低限の食器を選びました。気をつけたことは、母の希望を優先して、決定を焦らせずにゆったりと待ってあげることでした。
さらに、少ない食器でも楽しめるように手首の負担が軽い小皿や小鉢、豆皿などを複数取り入れ、バリエーションも保てるようにしました。
母が昔愛用していた食器類は、今までどおりにカウンターテーブルの下や物入れに収納し、家族が集まるときにだけ使用することにしました。
■収納の配置は、身長150cmの母のゴールデンゾーンに合わせて
食器をしまう位置は、母の腰から顔までの高さをゴールデンゾーンと決めました。身長150cm足らずの母が楽に出し入れできる高さを確認するため、実際に食器棚の前に立ってもらいました。
使用頻度が高い食器はゴールデンゾーンに、来客用の茶器などは手を伸ばせばすぐに取れる下段に収納しました。ガラス扉も撤去し、オープン収納にしたので、立ったままの出し入れもスムーズなようです。ふだんはカフェカーテンで目隠しをしています。
食器棚には他にも、飲み物やみそ汁など頻繁に使う食品を複数のかごに収めて、小引出しには最低限のカトラリーもセッティングしました。母がこの食器棚の前に立つと、まるでコックピットのように炊事が効率よく完結できるようになりました。
■要介護1から要支援2に改善!母の笑顔が増えた
楽に炊事ができると趣味としての料理も楽しめ、お茶の用意も気楽にでき、だんだんと人との交流も再開して、暮らしの充実度が上がりました。キッチン動線を見直してから約1年後、母の介護度が要介護1から要支援2に改善。ケアマネさんに驚かれたことが母の自信にもなったようです。
「自分で食事の支度ができるうちはまだまだ元気!」と以前より笑顔が増えた母。今ではときどき電話でおすすめのレシピを報告してくれます。これからも母が安心して余生を楽しめるように、定期的に暮らしの軌道修正をしながら見守っていきたいと思います。
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ライフオーガナイザー 藤本恭子
ブログ : 「モノ・心・お金を整えて暮らしをしなやかにデザインする スムースオーガナイズ」