おはようございます。
ライフオーガナイザーのさいとう きいです。
今日は神奈川県川崎市在住のマスターライフオーガナイザー吉川圭子さんのお宅をご紹介します。
吉川さんは半注文住宅である「無印良品」の「木の家」を3年前に新築。ご主人と3人の娘さん(小学6年生と小学3年生の双子)との5人で暮らしています。
吉川さんが「木の家」を選んだのは、ライフスタイルの変化や家族の成長に応じて、間取りを自由に変えていくことができるから。木造住宅の場合、家の強度を高めるためにたくさんの壁で仕切るのが一般的。ところが「木の家」は、骨格である構造自体に強度をもたせているので、パーテーションや家具などを活用してフレキシブルに空間を仕切ることができるそうです。
収納の仕組みづくりにも、ライフスタイルに合わせた工夫をしています。
開放的ですっきりとした雰囲気を保つため、吉川さんのお宅のオープンキッチンには、あえて食器棚や吊り戸棚を設けていません。
元々はキッチンの背面いっぱいに、奥行きのある引き戸式ウォークインパントリーが設計されていましたが、吉川邸ではプランを変更。ウォークインパントリーをなくしてキッチンの裏側に独立したパントリーを設けています。
キッチンの背面スペースは奥行を浅くして、食器の収納スペースとしてチェストを設置。チェストの上が開けているので、圧迫感がありません。…が、その分、収納量は減っています。5人暮らしの吉川邸では、どんな収納の工夫をしているのでしょうか?
食器は、浅いお皿、深い器、大きい器に分けて、すべてチェストの引き出しに収納。洗った食器をその場ですぐに片づけることができるように、食器洗い機にいちばん近い引き出しに食器を収納しています。動線を最短距離にすることで、片づけやすさも格段にアップします。
子どもたちが使うカップやお皿は薄手のプラスティック製のものを選び、キッチンの入り口側の引き出しに立てて収納。キッチンの奥まで入らなくても短い動線で取り出せるので、子どもたちも進んで取り出したり、片づけたりしてくれるそうです。
…と、食器棚代わりの引き出しの中を拝見して、気づいたことがあります。5人家族で、ときには3人の娘さんのお友達やママ友たちが遊びに来ることもある吉川邸。それにしては、食器の量が驚くほど少ないのです。
「わが家に人が集まるとき、たいていお料理は持ち寄りです。それなら、ついでに食器も持ち寄りにしたらどうかな?と、みんなにお願いしてみたら、これがとても気楽で! 最近はお料理もお皿も持ち寄るスタイルが定番になりました」という吉川さん。
大皿に盛りつける料理なら大皿ごと、小さなお皿に取り分ける料理なら小皿とともに持ち寄れば、普段使わない来客用の食器を持つ必要はありません。おまけにパーティの後は、みなさんそのまま食器を持ち帰ってくれるので、後片づけもラクになったそう。ぜひ真似したいアイデアですね。
吉川邸で、もうひとつ気になったのがゴミ箱です。キッチンにないようですが…?
その秘密は、シンクの側に置いた小さなバケツ。調理中に出る生ごみは一時的にバケツに入れて、片づけが終わったらビニール袋に包み、キッチン裏のパントリーに置いたダストボックスまで捨てに行きます。プラスチックゴミは、壁にかけたショッピングバッグのなかへ。汚れやすいキッチンの床にゴミ箱を置かないことで、掃除がとてもラクになったうえ、キッチンを広々と使うことができているそうです。
明るく開放的なオープンキッチンの魅力を活かすため、あえて大型の食器棚や吊り戸棚を採用しなかった吉川邸。「食器は来客の分まで揃えるべき」「ゴミ箱はキッチンの床に置くべき」といった常識にとらわれず、本当に自分達が使う量、使いやすい場所を意識しながら暮らしを整えることで、減った分の収納力をカバーしています。それが結果的に、時間をかけずに、ラクに管理できるキッチンへと繋がっているのかもしれませんね。
あなたは生み出された時間で何をしますか?
何をしたいですか?
心地いい暮らしづくりに役立てれば嬉しいです。
記事:油科真弓
写真:川俣満博
編集:さいとう きい
ライフオーガナイザー 吉川圭子
ブログ:整理収納手帖