おはようございます。
ライフオーガナイザー/一級建築士の和田さや子です。
新築やリフォームの際に役立つ、収納のプランニングのコツをお伝えする”カタチ”シリーズ。不定期連載でお届けしています。
これまでの”カタチ”シリーズ:
・これから新築・リフォームする人必見! 洗濯ストレスがなくなる「室内干しのカタチ」
・これから新築・リフォームする人必見! 家族みんなが片づけられる「洗面化粧台のカタチ」
・一般的な押入れは布団収納に不向き!? 本当に使いやすい「布団収納のカタチ」
・“食器棚は購入しない”という選択もアリ! 使い勝手から考える「食器棚のカタチ」
今回は、“カップボードのカタチ”を地震対策の面から考えてみようと思います。
家を新築・リフォームをするとき、システムキッチンは住設メーカーで選ぶケースが大半です。一方、家電スペースや食器を収めるカップボードは、予算の都合上、後回しになりがち……。造り付けはコストが高いので、「買ってきたカップボードを置けばいいよね?」となるのもうなずけます。
ですが、先日の大阪北部地震では食器棚が倒れて、食器が飛び出してきたというご家庭がとても多かったそうです。私の実家でも、倒れないように金物で補強していたにも関わらず、食器棚が揺れ、動いて、さらに扉が空いたそうです。
■チェック1:そのカップボード、固定できる?
カップボードが倒れないように金物で固定したり、突っ張り棒で固定したり、地震対策の方法はたくさんあります。ですが、実は下地のない場所に固定していたり、天井がたわんで突っ張り棒が意味をなしていなかったりと、リスクがないわけではありません。
せっかく家を建てるのであれば、必要なところに適切な下地を用意してもらい、しっかりとカップボードを固定してもらうと安心ですね。ちなみに、造り付け家具は下地に固定します。
住設メーカーのカップボードは、家具量販店で買うものに比べるとコストは上がります。その分、地震に強く、さらにはキッチンと同じ扉柄にすることで、インテリア性もアップしますよ。
■チェック2:引き戸vs開き戸 地震に強いのはどっち?
カップボードの扉は、下段は引き出し収納、上段が引き戸や開き戸になっているものが多いです。引き戸と開き戸、どちらを選びますか?
ふだんの使い勝手の面から考えると。
・引き戸のメリット:開けっぱなしにしても扉が邪魔にならない
・開き戸のメリット:扉の厚みが1枚分で済むので、棚の奥行きが確保できる
地震対策の面からみると
・引き戸のデメリット:きちんと閉める習慣がないと、地震で皿が飛び出してくる
・開き戸のデメリット:耐震ラッチがないと、地震で扉が簡単に開いてしまう
つまり、開き戸でも耐震ラッチがついていると、地震のときにロックがかかり中身が飛び出してくることはありません。最近の住設メーカーのカップボードは、耐震ラッチが標準装備されているものが多く安心です。逆に、地震に強いイメージのある引き戸でも、たまたま開けっ放しだと意味がないですし、揺れの方向によっては、ずれて開いてしまうこともあるようです。
■それでもやっぱりオープン棚にしたいときの注意点
「扉があった方が安心なのはよくわかった!でも、やっぱりオーブン棚じゃないと片づけられないです」そんな、“ワンアクション収納命”の方に、カップボードをオープン棚にするときに注意しておきたいポイントをお伝えします。
・棚板と棚受金物はビスで固定するタイプをチョイス。上に置くだけのものだと、地震で滑り落ちてきてしまいます。
・棚の上に滑り止めシートを敷いて、食器がずれにくい工夫を。
・落ちてきてもけがをしないよう、上段には軽いものを置くと安心。
・全体を隠せる大きな引き戸をつけておくと、目隠しと飛び出し防止の2つの効果があります。
地震対策をしながらも、片づけやすさはあきらめたくない。それぞれのメリットやデメリットを知って、ぴったりのカップボードを見つけてくださいね。
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一級建築士/ライフオーガナイザー 和田さや子
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