おはようございます。
ライフオーガナイザーのさいとう きいです。
3時間のコンサルティングと、ライフオーガナイザー2名による6時間の片づけ作業(標準価格73,000円。交通費・税別)を1名様にプレゼントするという、太っ腹企画「あなたのお宅、オーガナイズします!」。
ご当選者のM様は「将来の子ども部屋」を、そろそろ「正式な子ども部屋」として使いたいのに、ご主人のものが溢れていることにお悩みです。前編では、M邸でのコンサルティングの様子をご紹介しました。
>>>プレゼント企画「あなたのお宅、オーガナイズします!」ご当選者のお悩みは?(前編)コンサルティング編
後編は、オーガナイズ作業を経た「ビフォー・アフター編」です。
※掲載内容について、M様にご許可をいただいています。
目次
■ 片づかない理由を明らかにして、目指すゴールを共有!
コンサルティングを通して明らかになったM様のご要望は、
●リビングに置いてある勉強机を、いずれ「将来の子ども部屋」に移動できるよう準備しておきたい。
●増え続ける塾の教材を収納する場所を確保し、必要なときに出し入れできるようにしたい。
●子どもの作品を飾るスペースを確保したい。
これを受けて、6時間の片づけ作業の対象は、「将来の子ども部屋」に決まりました。ご要望を叶えるため、コンサルティングを担当したライフオーガナイザー、佐藤美香さんが提案書を作成。
作業当日は、提案内容の説明からスタートします。今回のオーガナイズ作業で達成するゴールは、
●娘さん、ご主人、家族共有のもののスペースを定め、家族それぞれが管理できるようにします(M様だけでなく、家族全員がものを探せる・戻せる状態)
●使用頻度に合わせてものを配置し、家族それぞれがラクに出し入れできるようにします(出し入れの負担軽減)
●動線に合わせてものを配置し、家族それぞれがラクに出し入れできるようにします(出しっ放し撲滅)
そのために今回、行うことは、
●「将来の子ども部屋」にあるクローゼットを、娘さん専用、ご主人専用、家族共有のスペースに、それぞれ分けます。
●クローゼット内の娘さん専用スペースに、衣類やバッグを、簡単に出し入れできるように収めます。
●学校のもの、塾のもの、工作関連のものを分け、それぞれの定位置をつくります。
提案書をお見せしながら、新たな家具の配置、収納スペース内のものの配置などを説明し、スケジュールの内訳をひととおりお伝えしたら、いよいよ作業を始めます。
M様をサポートするメインオーガナイザーは、コンサルティングを担当した佐藤美香さん。佐藤さんとM様をバックアップするアシスタントオーガナイザーは服部美亜さんです。
■ STEP1 分ける:ぜ〜んぶ出したら、ひたすら分ける!
オーガナイズ作業は、「STEP1分ける」→「STEP2収める」→「STEP3見直す」※の順に進めます。
※2019年春から、「STEP1 減らす」→「STEP2 整理する」→「STEP3 維持する」という表現から変更されます。
「STEP1 分ける」では、特定のスペースに収まっているものを全部出し、キーワードに沿って、ひたすら分けます。ものをたくさん詰め込みすぎて出し入れしづらくなったり、どこに何があるのかわからなくなったり……といった“ものの量と収納スペースのバランスが崩れた状態”を、出し入れしやすく、どこに何があるかわかる、“ものの量と収納スペースのバランスのとれた状態”に戻すことが目的です。
それに対してM様は、「全部出すと言っても、ほんとのほんとに全部じゃないですよね?」と驚いたご様子。いいえ、特別な事情がない限り、出すのは基本的に“ぜ〜んぶ”なのです。M邸の「将来の子ども部屋」のクローゼットは容量が大きいため、上段→下段の左列→中央→右列の順に、出して分ける作業を進めます。
出したものを分けるとき、「いる・いらない」「使っている・使っていない」といった2択にすると判断に迷いやすくなるので、メインオーガナイザーの佐藤さんが4つのカテゴリを提案。娘さんのものは「教材」「趣味のもの」「おもちゃ」「手放すもの(あとで娘さんに確認するもの)」という分類で、M様に分けていただくことにしました。
アシスタントの服部さんがクローゼットからものを出し、佐藤さんがそれを一つずつM様に手渡して、M様がどのカテゴリに分類するか判断します。最初は「うーん、これはどうしよう?」「これはもう使わないかなぁ?」と判断に少し時間がかかったM様ですが、迷うものは5つ目のカテゴリ、「保留」に分けることにしたら、判断がスピードアップ! 4つに分けるのが基本ではありますが、悩むようならカテゴリを増減しても大丈夫。素早く判断できる分け方を採用するのがポイントです。
娘さん以外のものは、ご主人のもの、M様のもの、家族共有のものと、人別に分けたうえで、ご主人のものはさらに「オンシーズンの衣類」「オフシーズンの衣類」「たまに使うもの」「使わないけれど保管しておくもの(あとでご主人に確認するもの)」に分類いただきました。どうしても分類できないものは、その場で佐藤さんが新たなカテゴリを提案して作業を進めます。
■ STEP2 収める:残すと決めたものだけを収める!
午前中の作業がひと通り終わると、このとおり、クローゼットの上段と左側が空っぽになりました。
次の「STEP2 収める」では、「STEP1 分ける」の作業を経て“残す”と決めたものを、最適な場所に、最適な方法で収めてゆきます。M邸では、収納スペースをざっくりと人別にゾーニング(区分け)したうえで、よく使うものは優先順位を上げて出し入れしやすい場所に、ほとんど使わないものは優先順位を下げて少し出し入れしづらい場所に収めることにしました。
コンサルティングで「しまいこんでしまうと、持っているのを忘れることも多い」とおっしゃっていたM様が、どこに何を収めたか覚えておかなくてもよいように、使用頻度の低いものを収めたボックスには中身を明記したラベルを貼っておくことに。
「あとで娘さんに確認するもの」「あとでご主人に確認するもの」をまとめたボックスは、取り出しやすい場所に仮置きしました。後日、M様にサポートいただきながら、娘さんとご主人にも全部出す→分ける作業にチャレンジしていただく予定です。
午後からはクローゼットの中央と右側、部屋の一角に置かれた棚の「STEP1 分ける」「STEP2 収める」作業を行いました。
■ ビフォー・アフター:なぜそこに?プロの収納には理由がある!
M様とライフオーガナイザー2名による6時間の片づけ作業、ビフォー・アフターはこちらです。
●「将来の子ども部屋」のクローゼット
<ビフォー>
娘さんのものだけでなく、ご主人のもの、M様のもの、ご家族のものが混在していました。「よく使うもの」「あまり使わないもの」「あとで使うもの」「保管しておきたいもの」といった使用頻度の異なるものも、同じスペース内に点在。そのため、娘さんやご主人が一人でものを探せない・戻せないだけでなく、M様ご自身も奥の方に何をしまったか、わかりづらい状態でした
<アフター>
クローゼット内を人別、使用頻度別にゾーニング。上段には、保管しておきたいもの(ご家族それぞれの思い出のものなど)や普段あまり使わないもの(スーツケースや手芸用品など)を、左列には娘さんの学用品を、中央は左右で分けて左側に娘さんの衣類と「あとで娘さんに確認するもの」、右側に家族共有のものをまとめています。
もともと主にご主人の衣類が収められていた右列は、使用頻度別に配置を変更。コンサルティングでM様より「衣類の裾が収納ケースにあたっていることが、夫は気になっている様子」だと伺っていたので、収納ケースを2段に分け、裾が当たらないようにしました。最終的に、ここにはご夫婦があまり使わない衣類のみ保管し、ご夫婦がよく使う衣類は寝室のウォークインクローゼットで管理されるよう提案しました。
人別に分けることで、家族それぞれが自分のものを自分で管理しやすくなります。使用頻度の高いものを優先的に出し入れしやすい場所に収めることで、日々の片づけがラクになります。M様ひとりがものを管理して片づけるのではなく、家族それぞれが自分のものは自分で管理し、使ったものを元に戻せるようになれば、片づけが原因で家族と議論することもなくなりそうですね。
作業後はクローゼット内にゆとりが生まれたので、「リビングに置いてある勉強机を、いずれ「将来の子ども部屋」に移動できるよう準備しておきたい」というM様のご要望も実現可能になりました。「あとで娘さんに確認するもの」を整理して、現在は部屋の一角に出している棚をクローゼット内に収めれば、勉強机だけでなくベッドを置くスペースだって確保できます。勉強机を移動する際、ご主人の机と入れ替えるようにすれば、子ども部屋の目につく場所から、ご主人のものが一切なくなる予定です。
●クローゼット内の娘さんの学用品スペース
<ビフォー>
「将来の子ども部屋」の壁面クローゼット左列には、もともと娘さんの衣類やバッグ、おもちゃが収められていました。けれども、中身をすべて出してみると、スペース内の一部に柱が張り出していて、効率的に空間を使えていないことが判明。
<アフター>
内側が凸凹しているため、衣類やバッグといった大きくて形が不揃いなものは収めづらくても、教科書や塾の教本といった小さくて形が揃っているものなら効率的に収まります。そのため、ここを娘さんの学用品スペースにして、「増え続ける塾の教材を収納する場所を確保し、必要なときに出し入れできるようにしたい」というM様のご要望を叶えることにしました。
一旦、お手持ちの収納ボックスに古いテキストやノートを収めて仮置きしていますが、実際に使ってみて問題ないようなら、凹凸にぴったり合うキャスター付き収納用品を設置されるよう提案しました。クローゼットの奥行きの深さをいかして、奥に古いもの、手前に新しいものと、前後にして収めれば、この先数年分の教材が収まります。当分、収納スペースに困ることはなさそうですね。
●「将来の子ども部屋」の棚
<ビフォー>
部屋の一角に置かれた棚には、娘さんの趣味である工作道具のほか、作りかけの作品、もう使っていないおもちゃなどが混在していました。棚の上にものが積み上げられた状態なので、下のものを取り出すのが大変です。
<アフター>
左側の棚に小学校で使っている教科書や学用品をまとめて「学習コーナー」に、窓側の棚に工作の道具や愛読書、今でもよく遊んでいるおもちゃをまとめて「趣味のコーナー」にしました。
「子どもの作品を飾るスペースを確保したい」というM様のご要望を受け、窓側の棚の上は大型の作品を展示するスペースに。ここには娘さん一番のお気に入りだという、ご主人とふたりで作った大作を飾ることにしました。
左側の棚の上にも展示スペースを設けたので、小さな作品も飾れます。ときどきローテーションしながら、そのときのお気に入りを飾っていただくよう提案しました。
コンサルティングで、M様が「ランドセルがダイニングチェアに置きっ放しになっているのが気になる」とおっしゃっていたため、「学習コーナー」にはランドセル置き場も設けました(下の画像左上の空いたスペース)。娘さんひとりでスムーズに支度できるよう、教科書や体操着、給食用のエプロン、習い事の道具やバッグも、ここにまとめて収納しています。
ライフオーガナイザー2名との、6時間にわたる片づけ作業を終えたM様は、「楽しかった! 空間だけでなく気持ちまで、とてもすっきりしました!」。その笑顔を拝見して、われわれもほっと一安心です。
■ STEP3 見直す:片づけの極意は習慣化!そして後日談も…?
けれども、オーガナイズはここでおしまい、ではありません。人が暮らしている以上、「絶対、散らからない部屋」を目指すのは非現実的。散らかったり乱れたりしても簡単に戻せるよう「STEP1 分ける」→「STEP2 収める」で暮らしの土台を整えたら、最後の「STEP3 見直す」で“片づけの習慣化”を目指します。
そのため、作業後に「アドバイスシート」をお渡しして、片づいた状態を維持するためのポイントや習慣化の秘訣をお伝えしました。
コンサルティングとオーガナイズを体験されたM様のご感想は、
「全部出して分ける作業では集中して頭を使ったので、とても疲れました。でも、そのおかげで、どこに、だれの、何が、どれだけ収まっているかわからないことによるモヤモヤした気持ちが、すっきりと晴れました! 夫のものが『たくさんありすぎる』と悩んでいましたが、きちんと分けて全体量が把握できたことで、『それほど手に負えない量でもない』と思えるようになったことには、われながら驚きました。
ひとりではどう分類すればよいのか、どう収めれば出し入れしやすいのかわかりませんでしたが、その場、その場で的確にアドバイスいただき、適材適所に収まったという実感があります!」。
作業後、「もっと片づけたい!」熱が急上昇したM様は、「今回、娘や夫のものを分けて、たくさんの『保留』が出てしまったのが気がかりです。佐藤さんにご提案いただいた寝室のウォークインクローゼットのオーガナイズも、ひとりで作業するのはむずかしそう。もう少し、ライフオーガナイザーのみなさんに手伝ってほしいです」。というわけで、約1カ月後にもう一度、オーガナイズ作業に伺うことになりました!
このクローゼットは、この後どうなるのでしょうか……?
プレゼント企画、「あなたのお宅、オーガナイズします!」は、ひとまずここで終了ですが、M様にご快諾いただいたため、次回はビフォー・アフターのさらにアフターの様子をご紹介いたします!
改めまして、「片づけ収納ドットコム」開設3周年を記念したプレゼント企画のご当選者として取材にご協力くださったM様、そしてご応募くださった読者のみなさまにも、心からお礼を申し上げます。ありがとうございました! これからも引き続き、片づけ収納ドットコムをどうぞよろしくお願いいたします。
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何をしたいですか?
心地いい暮らしづくりに役立てれば嬉しいです。
ライフオーガナイザー さいとう きい
ブログ:SMALL SPACES: 狭くても快適に