おはようございます。
ライフオーガナイザー/一級建築士の和田さや子です。
ご自宅を新築・リフォームするときに参考にしていただきたい「収納のカタチ」シリーズ。今回は、シュークローゼットの間取りについて考えていきたいと思います。
靴だけでなく、たくさんのモノを収納するのに便利なシュークローゼット。きっと便利だろうと取り入れたのに、「うまく使いこなせない」という声も少なくありません。住む人の行動や習慣にポイントを絞って、失敗しないためのチェックポイントをお伝えします。
目次
■リアルな使い方をイメージするための3つの質問
1.来客は多いですか?
「玄関は人に見られるから……」とおっしゃっていても、実は来客は月1度くらい、というケースも少なくありません。来客の想定をして玄関づくりをするのか、家族が使いやすい玄関を優先するのか、優先順位をはっきりとさせておきたいです。
2.靴は毎回、靴箱にしまえそうですか?
常に靴が靴箱におさめられていて、スッキリしていたら理想的です。でも、本当に家族全員が、しまう習慣を徹底できるとは限りません。
“しまわない人”がいることでイライラするくらいなら、最初から“しまわなくてもよい仕組み”を考える方法もあります。
3.靴は洋服に合わせて毎日履き分けますか?
持っている靴の数と、それを入れ替える頻度についても、必ずおうかがいしています。すべての靴をまんべんなく履ける仕組みをつくるのか、よく履く靴だけ届きやすい場所にあればいいのかがわかると、より最適なシュークローゼットのカタチに近づきます。
■実際の使い方をシミュレーションしながら間取りを調整
あるクライアントさんにも、同じように質問をしながら、どんなシュークローゼットにしたら使いやすくなるかをシミュレーションしました。
3つの質問には、このようにお答えいただきました。
1.来客は多いので、玄関はスッキリさせたい
2.靴は毎回しまわないと思う
3.日常的に履く靴は決まっている
パターン1
シュークローゼットを独立して設け、コンパクトな靴箱を上がり口横に設ける間取りです。
玄関が広く使えるのが魅力的だけれども、毎回、靴箱に靴を戻す自信がないので、結局、玄関がスッキリしないのではないかと心配。
パターン2
玄関の動線を2つに分けて、靴を出しっぱなしにできる場所をつくる間取りです。
壁をつくり、来客時の動線と家族の動線を分ける。日々使う靴が出しっぱなしになっても、壁の向こうなので気にならない。玄関は狭くなるが、靴が並ばないことで逆にスッキリ見えそう。
シミュレーションをした結果、パターン2を採用することにしました。
■2つの動線を使いこなすための工夫もいっしょに考える
せっかく動線を分けたのに、結局、家族用の動線を使っていないというお話もよく聞きます。家族用の動線を、自然と通るようにするための仕組みも考えてみました。
・間仕切りを壁でなく格子にして、心理的な遠さを和らげる
・出かける直前にいつもチェックする姿見を、シュークローゼット内にとりつける
・コート掛けをシュークローゼット内に設けて、中に入る理由をつくる
自分たちの「習慣」や「モノの持ち方」を知ると、背伸びをしなくても、ちょうどよい収納のカタチが見えてきますね。
“シュークローゼット”はこちらも参考に:
・オープンタイプのシュークローゼットは、季節の衣替えをするとより使いやすくなる
・玄関にものがあふれず、掃除をラクにする!シュークローゼットの工夫
・靴も衣替えしていますか? 入れ替え簡単&お掃除ラクチンな靴収納
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ライフオーガナイザー/一級建築士 和田さや子
HP:NIGI一級建築士事務所