70代からのキッチンリフォームはもったいない? 答えを出すための2つの質問

おはようございます。
ライフオーガナイザー/一級建築士の和田さや子です。

70代の方に、こんな質問をいただくことが多くなりました。

「家族のために、毎日食事をつくり続けてきたキッチン。気づけば子どもも独立し、残されたキッチンはだいぶん年季が入っており、モノも溢れている。

このキッチン、片づけで解決できますか? リフォームしたほうがいいですか?」

そんなご相談に、一級建築士/ライフオーガナイザーとしてどうお答えしているかを、実例をあげながら紹介します。

■片づけか?リフォームか?を考えるための2つの質問

ご相談をいただいたときは、必ず2つの質問をするようにしています。

1. 料理は好きですか?
子どもがいるうちはマメに料理をしていた方でも、歳を重ねてからは簡単なメニューですませたり、外食やできあいのものに頼ったりするケースが多く見受けられます。料理をする頻度が減っているのであれば、キッチンのモノを減らせる可能性が高いです。

そんなときは、片づけからアプローチしてみませんか、とご提案します。

2. 物理的な危険はありますか?
たとえば、扉が壊れて落下の危険があったり、高いところの収納を使うためにイスにのったりと、大きな怪我につながる危険があることも少なくありません。「イスに立つのは危ないので、吊り戸を使うのをやめませんか」とご提案しても、なかなか聞き入れていただくのが難しいこともあります。

そんなときは、思い切ったリフォームも解決策の一つとなりそうです。

70代からのキッチンリフォームはもったいない? 答えを出すための2つの質問

こうして、2つの質問を手がかりに、丁寧にヒヤリングを重ねていきます。その結果、「まずは片づけてみよう」ということもあれば、「思いきってリフォームしよう」ということになることもあります。

今回は、実際のクライアントさんにヒヤリングをして、どちらの結論にいたったのか、経緯をご紹介します。

■事例1:料理が好き。でもキッチンのあちこちに不具合がある

築35年を超えるお家でお住まいのクライアントのAさんは、もともと「片づけをしてほしい」という依頼からスタートしました。

70代からのキッチンリフォームはもったいない? 答えを出すための2つの質問
(実際のご自宅ではありません)

初見では、確かに夫婦二人の暮らしにしてはモノが多いな、と感じました。シンプルに、夫婦二人に必要なものだけに絞り込めば、かなり快適なキッチンになりそうです。

2つの質問をお伺いしてみました。

1. 料理が大好きで、人にふるまうのも好き
実際、私がお伺いすると、手作りのスイーツでもてなしてくださったり、作ったものをお土産にいただいたりします。Aさんにとってお料理をするということが、人生を豊かにする上でとても大切な時間だということがわかりました。

2. あちこち壊れているし、吊り戸棚は手が届かなくて危険
建ててからまだ一度もリフォームをしていないので、引き出しが壊れたり、昔ながらの開き戸収納が使いにくかったりと、とても不便そうです。収納が使いにくので、カウンターの上に調味料や調理道具が出しっぱなしになってしまうのがお悩みでした。吊り戸棚に手が届かないので、イスを使っているのも気になりました。

年齢としては、「今からリフォームにお金かけるの?」と思うタイミング。かなり悩まれましたが、家族会議と打ち合わせを重ね、最終的に「リフォームをする」という結論になりました。

「今後、体が不自由になっても、安全に料理が楽しめるキッチン」は、お金をかけるだけの価値があると感じるケースでした。

■事例2:キッチンに思い入れはないけれども使いやすくはしたい

築30年ほどのお家にお住まいのクライアントBさんからも、キッチンについてご相談を受けたので、2つの質問をうかがいました。

1. 健康のために料理はするけれども、「好き」というわけではない
もともと専業主婦だったBさんですが、ご主人がリタイアしてからは、順番にキッチンに立つようになりました。外食は少なめ、自炊はするけれども、リフォームまでして快適にしたいというほどの思いはない。

2. 収納に入らず、出しっぱなしになっているものが危ないと感じる
キッチンの床には、収納に入らなかった米びつや、生ごみ乾燥機などが置かれており、収納の扉が空きにくくなっています。また、お子さんやお孫さんの来訪もあり、キッチンにはご夫婦以外も立ち入るので、誰もが安全で使いやすいキッチンにする必要があると思っている。

70代からのキッチンリフォームはもったいない? 答えを出すための2つの質問
(実際のご自宅ではありません)

リフォームをするほどの予算は考えていないけれども、カップボードを買い替えるくらいの費用であれば出せるというお返事。そこで、床に置きっぱなしになっているものが、使いやすく収納できるようなカップボードの買い替えと、片づけをご提案しました。

どちらも70代の2組のご夫婦ですが、2つの質問への答えの違いが、「片づけか?」「リフォームか?」の分かれ道になりました。

「70代になってからキッチンをリフォームするなんて、もったいない」と決めつけるのではなく、「この年になったからこそ大切にしたいこと」を考えるために、大切にしたい2つの質問でした。

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ライフオーガナイザー/一級建築士 和田さや子
HP:NIGI一級建築士事務所

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