日本ライフオーガナイザー協会代表理事の高原真由美です。
先週の記事では、建築家Yさんとの初回打ち合わせから3週間後、3つのプランを提案してもらったときの驚き、そしてA・B・Cの3案のうち2案には、敷地周辺の道路や建物まで再現した模型も用意されていたことに度肝を抜かれたというエピソードを紹介しました。
そのプレゼンで私が断然惹かれたのはA案で、模型を見た瞬間、「もはや、ここに住みたい!」と思ったほど。(インスタストーリーズでの模型、ご覧いただけましたか?)
ところが、その後のやり取りを経て、私たちが選んだのはB案。第一印象とはまったく違う結果になりました。間取りを決めるのって、本当に大変ですよね…。私たちの経験が少しでも役立てば嬉しいです。

■A案にひと目惚れ。B案・C案との比較で見えたこと
私たちが購入した土地は変形地ですが、それを逆手に取り、家そのものをひし形にしたA案。外観も空間構成も模型ありのプレゼンだからこそのインパクトがあり、ほかでは見たことのないユニークなデザインにひと目惚れ!
「この土地だからこそできる家」という強い個性に、私はすっかり心をつかまれました。
一方で、ひし形の建物には、どうしても使い切りにくい部分が生まれます。希望する空間を確保するには面積を少し広げる必要があり、その分、建築コストが上がる可能性も考えなければなりませんでした。
初回のB案は、外観の形こそシンプルでしたが、間取りはかなり攻めたもの。1階には大きな土間があり、2階にはLDKの高天井+ロフトを思わせる構成もあります。こちらも十分に魅力的でしたが、それでも第一印象ではA案が圧勝。
C案は、広いLDKと大きな土間を1階に置いた、比較的オーソドックスな1階リビングプランでした。オーソドックスといっても、土間の使い方などにはYさんらしい個性とユニークさがてんこ盛りではありました。
一般的に、50代後半の家づくりでは、1階リビングを勧められることが多いようです。それでも私たちは、あえて2階リビングを希望していました。そのためC案は候補から外れることに。なぜ2階リビングにこだわったのかは、別の記事で詳しくご紹介しますね。
■11項目の要望から、大きく変わったB案へ
A案に惹かれた私たちは、初回プレゼンの2日後、A案の基本レイアウトを生かしながら実現したい要望をまとめて提出しました。そのうちの3項目がこちら。
- 脱⾐室は独⽴させたい(洗⾯化粧台とは別室)
- キッチン、通路幅、食洗機、収納部の具体的な寸法要望
- 新居でも継続使用予定家具と新たに購入計画アイテムとその詳細寸法
これも別記事で取りあげたいと思いますが、3つめの実際に使う、あるいは使いたい家具や家電・小物などの詳細サイズ(幅・奥行・高さ)をこの段階で伝えておくのはとても重要であるということ。建売住宅やマンション購入の場合は、物件リサーチ段階でリストアップしておく項目ですよ!
さて、その後はオンラインで詳しいヒアリングと予算感の確認を行い、初回プレゼンから3週間弱で修正されたA2案とB2案が届き、オンライン打ち合わせで詳細説明を受けました。
第2回のB案は、初回案のシンプルな外観や基本構想を踏襲しながら、間取りが大きく変わっていました。
図面を見ると、独立した脱衣室やランドリースペース、パントリーなど、私たちが伝えた要望が随所に組み込まれています。けれども、それは要望を一つずつ、そのまま足しただけの間取りではなく、限られた空間を無駄なく使いながら、私たちが本当に実現したかった暮らしが一つのプランとして整理されていたのです。
シンプルな外観も好みに合い、A案より建築コストを比較的抑えられる可能性も感じました。「A案がいい」と言っていたはずなのに、気づけば「B案のほうが良き!」に変わっていくのは新鮮な驚きでした。
ちなみに、初回は夫婦ともA案、第2回はB案と、意見が分かれそうな大きな選択なのに、不思議なくらい一致していました。
■言葉どおりではなく、潜在的な要望まで形にする
建築家Yさんは、施主の要望をそのまま図面へ移すのではなく、いったん抽象度を上げて受け止め、さまざまな可能性をシミュレーションしたうえで、新しい提案へつなげているように感じます。
「もはやA案の家に住みたい!」との私たちの言葉の奥に、どんな空間で、どんなふうに暮らしたいのかといった潜在的な要望まで推察し、期待以上のアウトプットにする。その提案力には感動した、というのが率直な意見。
これはライフオーガナイザーの仕事にも通じますが、お客様が口にした希望をそのまま実現するだけでなく、その背景にある困りごとや価値観を読み取り、本人がまだ気づいていない選択肢を提示する。私たちも、こんな仕事がしたいと思わされました。
建築家Yさんの提案は素晴らしく、このまま突き進んでいきたいと思ったものの…。
■「コスト削減」ではなく「コスト調整」
家づくりでは、魅力的なプランであることと同じくらい、本当に予算内で実現できるのかが重要です。この段階ではまだ具体的な金額が確定していなかったため、これまでの経緯を考えると楽観はできませんでした。
昨今の物価上昇やナフサショック値上げ的なことも相まって、このプランめちゃいいけど、実際のところこれ、いくらかかるの?的な不安も同時にムクムクと湧き上がるわけです。
これまでの施工業者探しで、期待しては諦めざるを得ない、という経験を繰り返していました。そのため、予算的に厳しいかもしれないと思うと、私はこだわりまで先回りして「ここは諦めたほうがいい」と考えがちに。A案に心を奪われて「ここに住みたい!」と思う一方で、「予算的に無理なら、できるだけ早く教えてね?」と、工務店Kさんにはそれなりの圧をかけていたと思います。(苦笑)
そんな私に対して工務店Kさんは、私たちがその部分をどれだけ大切にしているかを会話から汲み取り、
「そこはこだわりが強いようですし、優先しませんか?」という考え方で、建築家Yさんへ、施工者側の意見としてほかの部分を調整する方向へ導いてくれました。
何でも削るのではなく、大切なところには費用をかけ、そのほかの部分で調整する。
現場と価格をよく知る担当者だからこそできる「コスト削減ではなく、コスト調整」という考え方が、とても心強く感じられました。
A案にひと目惚れした気持ちは、今も変わりません。
けれども対話を重ねるうちに、プラン選びは「どのデザインがいちばん好きか」だけでは決められないことが見えてきました。
私たちの要望が凝縮されていること。空間を無駄なく使えること。シンプルな外観が好みに合うこと。そして、こだわりを残しながら予算を調整できる可能性があること。
B案は、A案を諦めた結果として選んだプランではありません。建築家と工務店との対話を重ねるなかで、私たちの暮らしにより近い形へと育ったプランとなりました。
次回は、B案をベースに、私たちの暮らしに合わせて何を残し、何を変えていったのか。さらに進んだプランづくりをご紹介します。
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これから何をしたいですか?
心地いい暮らしづくりに役立てれば嬉しいです。
次回は7月29日(水)朝10時にお会いしましょう♪
日本ライフオーガナイザー協会代表理事
高原真由美
ブログ:JALO公式ブログ







