「図面の中で住む」で見えた、間取りと契約の決め手【50代後半からの建築家との家づくり③】

日本ライフオーガナイザー協会代表理事の高原真由美です。

先週の記事では、第一印象ではA案が圧勝だったのに、なぜB案へ気持ちが動いたのか、工務店Kさんの「コスト削減ではなくコスト調整」というアプローチに心強さを感じたことをお伝えしました。

まだ契約前だった私たちが「依頼するなら、この人たちだ!」と確信したのはなぜか。今回は、さらに進んだプランづくりから正式な契約に至るまでをお伝えします。

50代後半の夫婦がA2案とB2案を見比べる様子を表現した、記事内容をもとに作成したイメージ画像

■「数日間、図面の中で住んでみてください」

初回プレゼン後、私たちの要望をもとにアップデートされたA2案とB2案が、家づくりのグループLINEに届きました。

そのとき、建築家Yさんから添えられていたのは、こんな言葉。

「数日間、図面の中で住んでみてください。それぞれの良さがあると思います。」

「図面の中で住む」。なんとも印象的な表現と思いませんか?

単に部屋数や広さを比べるのではなく、そこで朝起きて、食事をつくり、仕事をして、家族と過ごし、お風呂に入り、眠るまでを想像してみるということです。

私の中で、新居づくりの優先順位の上位にあったのはLDK。多くの方が家づくりで重視する場所だと思いますし、私も例にもれず、キッチンにはそれなりのこだわりがありました。

実際に「図面の中で住んでみた」結果、A2案よりもB2案のほうが、私たちの「こんな暮らしがしたい」を実現できそうだと感じましたし、B2案には、大きく変更したいところがほとんどありませんでした。

■「やはりそうでしたか」に、わかっとったんかい!

後日、A2案とB2案について、オンラインで詳しい説明を受けましたが、この時点ですでにB2案推しだった私は、その気持ちを率直にYさんへ伝えました。すると、返ってきたのは――

「やはりそうでしたか」

とのひと言。

わかっとったんかい!(笑)

さらにYさんは、B2案についてこう話してくれました。

「プラン的に“無理をしていない”ところが、高原さん一家にフィットしていると思うので、私もこのプランが好きです。でも、無理をしていないといいながら、かなり個性的な間取りです。他の多くの方には使いづらくても、高原さん一家にだけフィットすればよいわけで。住宅はそれでよいのだと、ずっと思いながら続けております。」

この言葉こそが、B2案を選ぶ決め手というよりも、「この人にわが家を設計してもらいたい」と思った決定的な瞬間だったのかもしれません。

■ほかの誰かではなく、わが家にだけフィットすればいい

住宅には、「一般的に使いやすい」とされる間取りや、人気の設備、「家事がラクになる」といわれる動線があります。

もちろん、そうした情報は参考になります。でも、家族構成も、生活時間も、仕事も、好きなことも、心地いいと感じる状態も人それぞれ。多くの人にとっての正解が、わが家の正解とは限りません。

Yさんは、私たちが伝えた要望をそのまま図面へ移したのではなく、その言葉の背景にある「本当はどんな暮らしをしたいのか」まで受け止め、私たち自身がまだ言葉にできていない希望も含めて、一つのプランに整理してくれたように感じました。

これは、ライフオーガナイザーの仕事にもよく似ています。

お客様から「収納を増やしたい」と言われたとき、本当に必要なのは収納スペースを増やすことなのか。それとも、持ち方や使い方、暮らし方を見直すことなのか。

口にされた希望をそのまま形にするだけでなく、その奥にある価値観や困りごとを読み取り、その人自身にフィットする選択肢を一緒に探す。

Yさんとのやり取りを通して、ライフオーガナイザーとして私もこんな仕事がしたいと、あらためて思わされました。

■土地決済を経て、設計契約と工事請負契約へ

B2案をベースに調整を重ね、3回目のプレゼンで、私たちの気持ちはほぼ固まりました。

その3日後には土地の決済も完了。つなぎ融資が実行され、「もうあとには引けない」という、なんともいえない緊張感も加わりました。

4回目の提案を確認したあと、同日、設計契約と工事請負契約を正式に締結。

契約をしたからといって、間取りも設備もすべて確定したわけではありませんし、むしろ、決めなければならないことはここからが本番です。

それでも、私たちの言葉だけでなく、その奥にある暮らし方まで理解しようとしてくれる建築家と、実現可能性やコストを施工側から支えてくれる工務店。「このチームとなら進んでいける」と思えたことが、正式契約へ踏み切れた大きな理由でした。

家づくりでは、魅力的なプランだけでなく、誰と一緒に考え、誰と一緒に決めていくのかが、とても大切なのだと思います。

次回は「50代後半からの建築家との家づくり」シリーズの番外編として、土地決済のリアルをお届けします。

土地の購入は、建築家との家づくりを実現するために避けて通れなかったプロセス。ただ、私たちはいろいろ進め方をミスったので、山あり谷ありでした。今日の記事と並行して進んでいた土地決済で、アタフタした様子をシェアしたいと思います。

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次回は8月5日(水)朝10時にお会いしましょう♪

日本ライフオーガナイザー協会代表理事
高原真由美

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