おはようございます。
ライフオーガナイザー/一級建築士の和田さや子です。
家づくりのリアルな“今”を記録している、【実録】家づくり&片づけのプロが自宅を建てるシリーズ、今回は第9回です。
建築現場は、大工工事が折り返し、後半戦に突入しました。今回のテーマは、大工工事が始まる前に、しっかり考えておきたい“下地”のこと。
“下地”がないことで、収納計画に制約が出てしまうことがあります。賃貸や出来上がっている家に入居する場合は、できる範囲で工夫していくことになりますが、せっかく注文住宅を建てるのであれば、この“下地”の計画も最初からしておきたいですね。
■下地が必要な場所はこんなにある
“下地”というのは、設備や収納、棚や金具などを取りつけるときに、ビス(ネジ)や釘を打ち込む土台となるものです。
クロスを張る壁は“石膏ボード”といって、強度が比較的弱いものを使います。ポスターなど、軽いものを押しピンなどでとめることはできます。ですが、重いものを無理に取りつけると、壁に大きな穴をあけてしまうリスクもあります。
“下地”が必要なのは、たとえばこんなところです。
・設備(キッチン、洗面化粧台など)
・棚や棚受金物
・タオルかけやペーパーホルダー、リモコン
・カーテンレールやロールスクリーン
・大型家具(カップボード、本棚など)
・壁づけの家電(壁かけテレビ、壁かけ扇風機など)
・手摺
・室内物干し
・ピクチャーレール、フック類
大きなものは、家具や収納の計画でほぼ決まってくると思います。意外に忘れがちなのが、フックなどの小さなもの。
特に、「見えないのはないのと一緒」な、わが家にとって、ちょいがけできるフックは生命線。フックやチョイ置き棚をどこにつけるか、何をつけるか、すべて大工工事が始まるまでに決めて、現場に伝えました。
目からウロコのフック活用方法は、こちらで紹介しました。
>>>取り込んだ洗濯物の“置きっぱなし”を防ぐ3つのポイントとは
■下地の位置決めは早ければ早いほど有利
“下地”と一口に言いますが、その入れ方は一種類ではありません。
1.柱や間柱を利用する(構造躯体に止めるのでいちばん丈夫)
2.厚みのある板を入れる(重いものや長いビスでも耐えられる)
3.合板などの板材を張る(広い面積をカバー)
4.Mクロス(クロス用下地合板)を石膏ボードの替わりに張る
1の柱や間柱は、建物の構造躯体にあたるので、設計の段階で決めておく必要があります。一方、4のMクロスは大工工事の後半で張るので、工事が進んでからでも、対応が可能な方法です。1→4と、工事が進むにつれてできる方法が減ってくるので、早めの決断が吉。
重いものを取りつける場合は、1や2の下地を入れておくことがオススメです。
■建築途中に忘れずしておきたいこと
工事が進み、石膏ボードを張ってしまった後に、「ここに下地は入ってますか?」と聞くと、「入れたかな? 入れてないような……」というあいまいな返事が返ってくる可能性があります。
また、住み始めてから「ここにも下地があったかな」と、追加で何か取りつけたくなることも出てきます。
そんなときのために、下地を入れた状態の現場写真をたくさん写真に撮っておきます。
すべての壁の面が写るよう、角度を変えて撮っておくと、下地や間柱の位置が後からでも推測できるので便利ですよ。
たかが下地、されど下地。
出来上がった後に見えなくなるからこそ、建築途中の写真があると安心です。
下地があったから取りつけられた事例はこちらに:
・IKEAのハンガーレールをドアに取りつけ!収納場所の新たな可能性
・子ども部屋大改造のその後。部屋づくりに役立った「無印良品」の家具3つ
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ライフオーガナイザー/一級建築士 和田さや子
ブログ : 建築士×ライフオーガナイザー®と建てる“忙しくても片づく家”