おはようございます。
ライフオーガナイザーの秋山陽子です。
子どもの成長とともに気になるのが、実家の親の暮らし。10年前になりますが、実家のものの多さが目につき、ついつい、母の気持ちも考えずに「捨てたらいいのに」と、頭ごなしに言ったことがありました。
その結果、母のやる気を損ねてしまうという苦い経験は、実家の片づけを考え直すきっかけとなりました。実際、この経験が、シニアの片づけサポートの教訓として活かされ、老後を見据えた家の中のものや収納の見直しのサインとなっていることがあります。
目次
■実家の片づけの前提に、親の身体の変化があると知る
安全な老後生活に必要な収納の見直しには、私が思うサインがあります。加齢による身体の変化からの部屋の変化です。
高齢者の場合、身体の硬直化や平衡感覚の低下などによって運動能力が下がるとともに、視力・聴力・触覚・温度感覚も鈍くなると言われています。そんな身体の変化のサインは、片づかなくなった場所にも現れます。
そのサインを見逃さないために、日常的に注意を払っている場所があります。
■サイン①天井に近いところの時計や照明器具が止まっている
1つめは、部屋の高いところです。たとえば、「時計が止まっている」「電気がつかない、つくまでに時間がかかる」、こんなことがサインの1つ。
昔は、簡単に電球を取り替えることができていても、高いところに手が届かなくなったり、椅子の上に上がることに不安を感じてくることがあります。最近は、明るくて寿命が長い電球に取り替えることもできますが、新しい家電情報を知る機会がないことから買い慣れたものを繰り返して使っている方も多いよう。
実際に私の実家でも、電球が変えられていないことがありました。こんなことがあったときは、「家の中にある高い場所の収納を見直すサイン」としています。防災面からも、高い場所の収納は使わない選択もあることを伝えることから始めています。
■サイン②玄関に置いたままになっているものが増えてきた
2つめは、玄関です。玄関に、外から持ち帰ったものや買ってきたものが置いたままの状態になっていることがあります。重たいものやかさばるもの、運びづらいなど、力が弱くなって、これまでの収納場所におさめられないことが原因だったりします。
こんなサインを見つけたときには、タンスの引き出しが重たくなって使いにくくなっていたり、ビン詰めなどの蓋が開けることができず、そのまま置かれていることもあります。収納場所を見直すだけでなく、家具をリメイクしたり、オープナーといった便利グッズを利用するなどの解決策も提案できるようになりました。
■サイン③日常使いの机まわりに増えている生活小物
3つめは、日常的に使っている机まわりです。
少しずつ増えてきた机のまわりのものには、よく見ると、書類やメモを始め、日常の生活用品があります。目が見えにくくなることから書類を見るのが億劫になったり、記憶に自信がなくなることから忘れないためのメモや、すぐに使いたいものを出しておくようになり、いつの間にかいろんなものが集まりやすくなるのです。
そうなると、ものを探すことも増えてきますし、その頃から、ゴミの分別が難しいと感じることもあるようです。情報が多すぎる分別のルールを読み解けず、捨てることにストレスを抱いている方もいます。実際、母や私が伺っているサポート先でも、生活に必要な情報だけが載ったゴミ捨てカレンダーを作成しただけで、ゴミを捨てることが楽になったと言います。
こうした家の中の変化は、たまに行く実家だからこそ気がつきやすいことでもあります。実は、こうした場所を少し注意して見ることで、私自身が親に対する声のかけ方が大きく変わりました。親も加齢していく現実を私自身が受け止めることができ、「捨てたら」「片づけたら」ばかり言っていた私が、「安全で安心した住まいでもっと楽に過ごして欲しい」と、大切なことをいちばんに伝えられるようになったのです。
実家の片づけが進み始めた大きな要因は、私自身が、まず家の中に起きている変化と親の身体の変化を合わせて受け止めることができたからと言っても過言ではありません。次回は、こうした身体の変化から見直した収納についてご紹介したいと思います。
実家の片づけに関する記事はこちら:
・さぁ、始めよう!進まない実家の片づけは、○○なものを書き出すことからスタート
・究極の選択!介護ホームに持っていくものは「かきくけこ」で選ぶ
・シニアの防災は、安全な動線を確保し、行動を家族みんなで共有する
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ライフオーガナイザー 秋山陽子
ブログ : うちらしく暮らしやすく