おはようございます。
ライフオーガナイザー/一級建築士の和田さや子です。
ご自宅を新築・リフォームするときに参考にしていただきたい「収納のカタチ」シリーズ。今回は、収納の高さを生かす方法について考えていきたいと思います。
高いところにモノをしまうと、出し入れがしにくく、気づけば「何が入っているかわからない」という状態になりがちです。そんな“使いにくい収納”を生み出さないために、間取り上で工夫をした事例をご紹介します。
■床の高さを変えることで、生み出される空間を活用
このお家は、リビングの一角を“小あがり畳コーナー”として使うことが最初に決まっており、その横に、一坪ほどのパントリーをつくりました。部屋の突きあたり右側が小あがりの畳コーナー、その左、入り口の向こうがパントリーです。
上のパース写真のように、当初、床から天井まで、すべてパントリーとして使う予定でした。打ち合わせの中で、「パントリーの天井が高くても、上のほうは使い切れないですよね」という話になり、「生かす方法はないか?」と考えることに。
そこでひらめいたのが、小あがりの畳コーナー側からも収納の入り口をつくることで、立体的に空間を生かす方法です。
わかりやすいよう、断面図にしてみました。パントリーの天井を低く抑え、上の余った空間を畳コーナーから使います。
■小あがりの畳コーナーが生み出す2カ所の収納
リビングの一角につくった畳コーナーは、床より40㎝高くなっています。この40㎝というのは、ちょうどイスの座面高さと同じくらいで、腰をかけるのにぴったりです。
小あがりにすることで、下に引き出しをつくって収納スペースとして活用することができます。
さらに、畳コーナーが一段高くなっていることで、下から見ると2m以上の高さにある収納でも、簡単に手の届く高さになります。
今回は、クライアントさんの要望で収納扉を付けませんでしたが、扉をつけることももちろん可能です。この場所には、畳コーナーで使う客用布団などを収納することを想定して、奥行を決めました。
■パントリーの天井高を下げて活かしきる収納に
パントリーの天井高は、クライアントさんの身長を考慮して、180㎝まで下げました。そして、奥行30㎝と15㎝の可動棚を左右に3列5段ずつ並べました。
いちばん上の棚でもサッと取れる高さなので、隅から隅まで余すことなく収納スペースとして使い切ることができます。
このように、床の高さが違うことをうまく利用することで、床面積を増やすことなく収納容量を増やすことができました。
“パントリー”はこちらも参考に:
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あなたは生み出された時間で何をしますか?
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ライフオーガナイザー/一級建築士 和田さや子
HP:NIGI一級建築士事務所