50代後半で2階リビング?わが家が「明るいLDK」を譲れなかった理由【50代後半からの建築家との家づくり⑬】

日本ライフオーガナイザー協会代表理事の高原真由美です。

前回の記事では、予算オーバーを前に、窓や素材、購入方法などを見直しているわが家の減額調整についてお伝えしました。費用は抑えたい。でも、毎日の心地よさまで削りたくない。そんな判断の土台にあるのが、「新居で、どんな暮らしをしたいのか」です。

わが家にとって、最初から優先順位の一番上にあったのは、明るいLDKで過ごすこと。そのために希望したのが、2階リビングでした。

以前、間取りプランを比較した記事で、1階リビングのC案を候補から外したことに触れました。今回は、その理由と、これから年齢を重ねていくことをどう考えたのかをご紹介します。

50代後半で2階リビング? 明るいLDKは譲れない。階段と梁のある室内の写真を配した、建築家との家づくり⑬のアイキャッチ。

■昼間でも照明が必要。だから、明るいLDKが最優先

今の住まいは、大阪市内の住宅密集地にある2階建ての長屋。間口が狭く、奥行きのある、いわゆる「うなぎの寝床」のような間取り。1階にLDKとトイレ、お風呂、洗面スペースがあります。

2階は朝や日中なら照明をつけなくても明るいのですが、1階はそうはいきません。昼間でも、照明なしでは過ごせないのです。

だから、新居では明るいLDKで暮らしたい。これは、家づくりを考え始めたときから、譲れない希望でした。新居も大阪市内の住宅密集地であることは変わらないため、最初から2階リビングを希望。

もし、郊外の広い土地に家を建てる計画だったなら、平屋や1階リビングの2階建ても検討したと思います。でも、わが家の条件では、そもそも選択肢に上がりませんでした。

ちなみに、徳島県の実家は、敷地が約100坪、延床面積が60坪弱あるわりと広めの2階建てです。1階に北東向きのリビングがあり、昼間は照明なしでも過ごせますが、東側に隣家があるため、やはり少し暗め。時間帯によっては、隣家側の掃き出し窓のカーテンを閉める必要もあります。

もちろん、2階なら必ず明るい、という話ではありません。わが家が重視したのは、現居と新居の立地条件を踏まえて、毎日長く過ごすLDKの明るさをどう確保するか、ということでした。

■帰宅動線の便利さよりも、毎日過ごす場所の明るさを

今の家にも、気に入っているところはたくさんあります。

たとえば、玄関を入ってすぐにダイニングとキッチン、冷蔵庫があること。買い物から帰ったら、そのまま食材をしまえるので、帰宅動線に無駄がなく、とても快適です。

LDKを2階にすれば、買ってきた食材などを階段で運ぶことになります。帰宅動線の便利さと引き換えにしても、わが家は明るいLDKを優先したいと考えました。

現居をフルリノベーションした子育て真っ只中の頃と今とでは、暮らし方も、必要な動線や空間も違います。

リノベ前、フルタイムの会社員ワーママだった頃は、帰宅後すぐに夕食をつくり、娘に食べさせ、洗い物。一緒にお風呂に入り、寝かしつけるまで大忙しでした。トイレトレーニングや、大量の洗濯物を干し、取り込み、戻す作業もあり、時短や効率が最優先。休みの日以外は、リビングの日当たりを気にする余裕も、正直ありませんでした。

40歳で起業したとき、娘は小学2年生。その後も平日の日中は自宅外のオフィスで働いていました。娘が大きくなり、手がかからなくなるにつれて、少しずつ自分の時間が増え、LDKで過ごす時間の心地よさを優先したくなっていった、というかんじでしょうか。

今も動線の使いやすさは大切ですが、住まいに求めるものは変わってきたと実感しています。ライフステージが変われば、ライフスタイルも変わる。住まいも、暮らし方が変わることを前提に考えるべきかもしれません。

一方で、今の家で見直したいことも明確です。奥行きのある間取りのため、トイレや洗面、お風呂へ行くには、ソファとテレビのあるリビングを通らなければならず……。くつろぐ場所が、通路にもなっているからです。

さらに、洗面と脱衣が同じスペースにあり、そこに洗濯機も置いています。リビングのすぐ横で、仕切りは建具ではなくカーテンなので、脱水中はテレビの音が聞こえにくいことも。

あ、子育て世代の方が家づくりを計画される場合は、洗面と脱衣は分ける一択。他を削ってでも採用したほうがいいと断言します! 少なくともカーテンなど、何かしらの仕切りは必須ですよー。

とはいえ、2012年のフルリノベーション当時は、既存の建物の条件から避けるのが難しかったことでした。その点は最初から承知し、納得して選んだ間取りです。だからこそ、今度はこうしたい、という課題がはっきりしていました。

明るさ、くつろぐ場所と通路の関係、洗面や脱衣の使い方、洗濯機の音。それぞれ別の課題なので、リビングを2階にするだけですべて解決するわけではありません。一つずつ、設計で考えていきたいことです。

反対に、現居で気に入っていても見送らざるを得ないものもあります。現居の無垢の床や塗装壁は、新居では予算の関係で断念することに。あと、たぶんアメリカンスイッチも。(涙)

現居で採用した巾木のないすっきりした仕上げも大好きですが、ここは以前から、新居では見た目より実用性を取り、巾木をつけようと考えていたので問題なし。巾木がないと、壁の汚れや傷はそれなりに覚悟が必要です。それでも、見た目重視派にとっては選びたくなりますよね! あ、私のことですよー。(笑)

今の家で満足していることと、新居でも必ず実現したいことは、同じとは限りません。全部をそのまま引き継げないなかで、私たちが譲れなかったのが、明るいLDKでした。

■階段の上り下りを、わが家はどう考えたか

50代後半からの家づくりですから、これからの階段の上り下りを考えなかったわけではありません。

実家は1階リビングですが、洗濯機は1階、洗濯物を干すベランダは2階です。洗濯物を干したり取り込んだりするには、階段の上り下りが必要。昔は、こういう家も多かったですよね。

実家で暮らしていた祖母は、80代後半まで、その洗濯物を干す・取り込む作業を担当していました。父母が自営業で忙しかったこともあり、けがをして施設に入るまでは祖母の役割でした。

その姿を見ていた私には、日々の階段の上り下りも、体を動かす機会になっていたように思えます。現在、88歳の父と83歳の母が今も元気に暮らしていることも、私の受け止め方に影響していると思います。

もちろん、これは自分の家族の暮らしを見てきた私の実感です。階段のおかげで元気だったと断定できるものではありませんし、誰にとっても負担にならない、というものでもありません。

若くても、けがや病気で階段の上り下りが難しくなることはあります。年齢だけで一律に考えられるものではないですよね。

それでも、今の家のように昼間も照明が必要なLDKで過ごすことと、明るいLDKで暮らしながら日々階段を使うことを天秤にかけると、私たちは後者を選びたい。これが、わが家の判断でした。

■将来は1階で暮らせる。その備えが後押しに

とはいえ、「今は元気だから、将来のことはそのときに」というだけでは、やはり気になります。

建築家Yさんは、将来、階段の上り下りが難しくなった場合も考えて、比較的簡易なリフォームで夫婦が1階だけで暮らせるようなレイアウトを想定してくれました。

新居では、浴室や洗面などの水回りを1階にまとめ、トイレは1階と2階の両方に設ける予定です。今の家ではトイレが一つだけなのも小さなストレスだったので、ここも見直しました。

将来、必要になったら1階に簡易的なキッチンを設けることで、2階へ上がらずに生活できるようにする。そうした使い方まで考えた間取り。

今後、暮らし方を変えられる見通しがあることで、私たちにとって2階リビングへの大きな不安はなくなりました。

今、心地よく暮らしたいという希望を大切にしながら、将来、同じように暮らせなくなったときの選択肢も残しておく。Yさんの提案は、その両方をかなえてくれるものでした。

1階リビングと2階リビング、どちらが正解かという話ではありません。土地の条件も、今の暮らしも、大切にしたいことも違います。

わが家は、帰宅動線の便利さや好みの内装をすべてかなえることよりも、明るいLDKで毎日を過ごすことを選択し、将来の不便に対しては、暮らし方を変えられるように備えることにした、という事例の一つですね。

家づくりを考えるときは、今の住まいで気に入っていることと、新居では変えたいことを分けてみる。そのうえで、何を手放しても残したいのかを考えると、自分たちの優先順位が見えてくるのではないでしょうか。

将来への備えも大切。でも、これからの日々を心地よく過ごすことも、同じように大切にしたい。わが家にとって、その答えが2階リビングでした。

人生後半に思うことはなんですか?
これから何をしたいですか?
心地いい暮らしづくりに役立てれば嬉しいです。

次回も水曜日午前10時にお会いしましょう♪

日本ライフオーガナイザー協会代表理事
高原真由美

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